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すごう
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僕はすごくポジティブな人間なんですけど、
その理由の一つは
「辛い時は自分を思いっきり俯瞰的にみること」
を意識的にやっているから。
その辛い事がどこまで自分に危険を脅かすか、みたいにシリアスに考えた時に、
全然そんな事ないと。死なんだろうと。
死ぬことはないし、食いっぱぐれになることもないと思えると、
だいたいそういう悩みの種がくだらんことやなって思えるようになる。ー本田圭佑ー

先日、高校の先輩がSTUDY HOUSE生の親御さんですが、鷹巣の道の駅で、購入してきた!!!ということで頂きました。

さてさて

なぜ子どもは家に帰ると「自分は悪くない」と強く主張するのか

親子間で起こる防衛と問題の代理化

塾や学校では、自分の気持ちをほとんど話さなかった生徒が、家へ帰った途端に強く訴えることがあります。

「自分は悪くない」

「先生が一方的に怒った」

「自分だけ厳しく注意された」

「ちゃんとやったのに、認めてもらえなかった」

「もうあの先生とは話したくない」

保護者から見ると、子どもはひどく傷ついています。

涙を流していることもあるでしょう。

強い口調で怒っていることもあります。

その姿を見れば、

「うちの子が、そんなに理不尽な扱いを受けたのか」

「すぐに学校や塾へ連絡しなければ」

と思うのは自然なことです。

親には、子どもを守りたいという気持ちがあります。

特に、子どもが外では何も言えず、家で初めて本音を話したのであれば、その訴えを大切にしたいと思うでしょう。

しかし、ここで考えなければならないことがあります。

子どもの感情を受け止めることと、子どもの説明をすべて事実として確定することは同じではありません。

さらに、

子どもの代わりに保護者がすべて説明すること。

子どもの代わりに相手へ抗議すること。

子どもの代わりに問題を解決すること。

これらも、それぞれ別の行為です。

子どもを守ろうとして大人が問題解決をすべて引き受けると、子ども自身が感情を整理し、事実を確認し、相手へ説明し、必要な助けを求める機会を失うことがあります。

今回の記事では、なぜ子どもが家へ帰ると「自分は悪くない」と強く主張するのかを、

家族システム。

三角関係化。

自律性支援。

心理的安全性。

問題解決の外部化。

という観点から考えます。

家庭は「本音を出せる場所」だからこそ、感情が強く表れる

まず理解しなければならないのは、家で強く訴えること自体が、必ずしも悪いことではないということです。

学校や塾では、周囲の目があります。

先生へ反論すれば、さらに怒られるかもしれない。

友人に弱いところを見られたくない。

うまく言葉にできない。

その場では緊張していて、自分の感情に気づけない。

こうした理由から、外では感情を抑えることがあります。

そして、安全だと感じる家庭へ戻った後に、抑えていた感情が一気に表れる。

これは、大人にも起こります。

職場では我慢できていたのに、自宅へ帰って家族へ不満を話す。

緊張している間は涙が出なかったのに、信頼できる人の顔を見た途端に泣き出す。

家庭は、子どもにとって感情を解放できる場所である必要があります。

したがって、

「外では何も言わなかったのに、家でだけ強く言う」

という理由だけで、その訴えをわがままと決めつけてはいけません。

むしろ、

家では自分の気持ちを話しても大丈夫だ

と感じている可能性があります。

ただし、心理的に安全な場所で感情を表現することと、その場で語られた説明が、出来事の全体を正確に表していることは別です。

子どもは、まず感情を語っています。

その後に、事実を整理する作業が必要です。

心理的安全性とは何か

心理的安全性、psychological safetyという概念を組織学習の領域で体系化した代表的な研究者がAmy Edmondsonです。

Edmondsonは1999年、製造企業の51チームを対象に、質問紙、インタビュー、観察などを組み合わせたフィールド研究を行いました。

そこで心理的安全性を、

対人関係上のリスクを取っても安全だという、チーム内で共有された信念

として捉えました。

質問する。

間違いを認める。

助けを求める。

異なる意見を言う。

自分の失敗を報告する。

こうした行動には、対人関係上のリスクがあります。

「能力が低いと思われるのではないか」

「叱られるのではないか」

「仲間外れにされるのではないか」

という不安があるからです。

Edmondsonの研究では、心理的安全性は学習行動と関連し、学習行動がチームの成果へつながるモデルが支持されました。もっとも、この研究は企業の成人チームを対象としたものであり、その結果を親子関係へそのまま適用することはできません。

それでも、

間違いを話せる。

助けを求められる。

自分の弱さを見せられる。

という安全性が、学習や問題解決に必要であるという視点は、家庭でも重要です。

家庭が心理的に安全であれば、子どもは、

「先生に注意されて悔しかった」

「本当は課題をやっていなかった」

「できなかったことを知られるのが怖かった」

「その場では何も言えなかった」

と話しやすくなります。

問題は、心理的安全性を、

子どもの説明をすべて肯定すること

と混同してしまうことです。

心理的安全性とは、何を言っても自分の主張が通る環境ではありません。

失敗や異なる意見を話しても、人格を否定されず、そこから事実を確認し、問題解決へ進める環境です。

家族システム論は「誰が悪いか」ではなく、関係の循環を見る

親子間の問題を考える上で重要な視点の一つに、家族システム論があります。

家族システム論では、家族を、独立した個人が集まっただけのものではなく、互いに影響し合う一つの関係システムとして捉えます。

子どもの行動は、子ども一人の性格だけから生じるとは限りません。

親の不安。

夫婦間の関係。

学校や塾との関係。

兄弟姉妹との比較。

家庭内の期待。

過去の成功や失敗。

こうした要素が互いに影響し合います。

例えば、子どもがテストで悪い点数を取ったとします。

子どもは親に叱られることを不安に感じる。

親は子どもの将来を心配する。

親の不安が強い口調になる。

子どもは攻撃されたと感じる。

自分を守るために、

「先生の教え方が悪かった」

と主張する。

親は先生への怒りを強める。

子どもは、

「自分は悪くない」

という説明をさらに強める。

このように、誰か一人だけを原因とするのではなく、互いの反応が次の反応を生む循環として捉えます。

子どもが他責的だから、親が介入する。

親が介入するから、子どもが自分で説明しなくなる。

子どもが説明しないから、親がさらに代わりに話す。

この循環が続くと、問題解決の主体が子どもから親へ移っていきます。

三角関係化とは何か

家族システム論で知られる概念の一つが、三角関係化、triangulationです。

二者間に緊張や対立が生じた時、第三者がその関係へ入り、緊張を調整する構造を指します。

例えば、

生徒と先生の間に問題が起きる。

生徒は先生へ直接話さない。

家で保護者へ訴える。

保護者が学校や塾へ連絡する。

先生と保護者が問題について話す。

本人は、その対話へほとんど参加しない。

この場合、生徒と先生の二者間の問題が、

生徒・保護者・先生

という三者関係へ変化しています。

第三者が入ること自体が悪いわけではありません。

子どもだけでは解決できない問題もあります。

差別的な対応。

ハラスメント。

安全上の問題。

深刻ないじめ。

強い不安や抑うつ。

年齢や発達段階から、自分で説明することが難しい場合。

このような時には、大人が介入しなければなりません。

問題は、本人が話せることまで、毎回保護者が代わりに話してしまうことです。

すると子どもは、

困ったら親が説明してくれる。

自分で相手へ話さなくてもよい。

自分の説明が一面的でも、親が自分の側に立ってくれる。

という学習をする可能性があります。

親の介入によって、その場の不安は下がります。

しかし、本人が問題解決の経験を積めません。

短期的には子どもを守っていても、長期的には自律的な問題解決を育てにくくなることがあります。

子どもが家で「自分は悪くない」と言う心理

子どもが家へ帰ると自己弁護を強める理由は、一つではありません。

親から叱られることを避けたい

課題を提出しなかった。

先生へ反抗した。

学習計画表を書かなかった。

確認テストを避けた。

これをそのまま話せば、親から注意される可能性があります。

そこで、

「先生が一方的に怒った」

「自分だけ厳しくされた」

と説明することで、自分への非難を減らそうとします。

自尊心を守りたい

自分の失敗を認めることは苦しいものです。

特に、

「自分は頑張っている」

「自分は悪くない人間だ」

という自己像を持っている場合、

「自分が約束を守らなかった」

という事実は不快です。

その不快感を減らすために、原因を外へ置くことがあります。

まだ出来事を多面的に捉えられない

子どもは、自分が経験した感情を中心に出来事を説明することがあります。

「怒られて嫌だった」

という感情が強いため、

なぜ注意されたのか。

その前に自分が何をしたのか。

先生は何を意図していたのか。

他の生徒にはどう対応していたのか。

といった情報が説明から抜けることがあります。

これは必ずしも意図的な嘘ではありません。

その時点で本人が見えている範囲が、感情によって狭くなっている可能性があります。

親に安全を求めている

子どもが本当に求めているのは、問題解決ではないこともあります。

まず、

「つらかったね」

「悔しかったね」

と受け止めてほしい。

自分の味方がいると確認したい。

しかし親がすぐに事実確認や説教を始めると、

「分かってもらえない」

と感じ、さらに強く、

「自分は悪くない」

と主張することがあります。

子どもの味方になることと、子どもの説明を全面肯定することは違う

親は、子どもの味方であるべきです。

ただし、味方になることは、

子どもの説明をすべて正しいと認定すること

ではありません。

本当の意味で子どもの味方になるとは、

子どもの感情を受け止める。

危険があれば守る。

事実を一緒に確認する。

本人にも改善点があれば伝える。

必要な助けを求める方法を教える。

本人ができることは本人に返す。

ということです。

「先生が全部悪い」

と保護者が結論づければ、その場では子どもが安心するかもしれません。

しかし、本人にも修正すべき行動があった場合、その情報を学べなくなります。

反対に、

「あなたが悪いに決まっている」

と切り捨てれば、子どもは本当に困った時に相談できなくなります。

必要なのは、

感情への共感と、事実への中立性

です。

「そう感じて、つらかったんだね」

と受け止める。

その後で、

「何が起きたのか、順番に整理してみよう」

と進めます。

自律性支援とは、子どもの好きにさせることではない

親が問題を代行しすぎないことを考える上で重要なのが、自律性支援、autonomy supportです。

自律性支援とは、子どもの視点や感情を理解し、可能な範囲で選択の機会を与え、理由を説明しながら、子ども自身が行動の主体になれるよう支えることです。

放任とは異なります。

何をしても自由にさせることでもありません。

Wendy GrolnickとRichard Ryanは1987年、91人の小学5年生を対象に、学習場面での統制的な条件、非統制的な指示条件、自発的な学習条件を比較しました。

統制的な条件では、子どもは学習を強く指示され、評価への圧力を感じやすい状態に置かれました。

研究では、統制的な条件でも直後の機械的な学習は進む一方、非統制的な条件や自発的な条件の方が、興味や概念的理解で優れ、統制条件では時間を空けた後の機械的学習の低下も大きい傾向が示されました。

さらにGrolnickとRyanは1989年、小学3年生から6年生の子どもを持つ母親64人、父親50人を対象に、親の自律性支援、関与、構造化と、子どもの自己調整や学校適応との関係を調べました。

親の自律性支援は、子どものより自律的な自己調整、教師が評価した能力や適応、成績や達成と関連していました。ただし、この研究は相関研究であり、自律性支援が直接成績を上げたと因果的に断定できるものではありません。

自律性支援を今回の問題へ置き換えると、親は子どもへ次のように関わります。

「お母さんが全部話してあげる」

ではなく、

「あなたは、相手に何を伝えたい?」

と聞く。

「もうその先生とは話さなくていい」

ではなく、

「一人で話すのが難しいなら、どういう支えがあれば話せそう?」

と考える。

「相手が悪いから謝らなくていい」

ではなく、

「相手の問題と、自分が修正する部分を分けてみよう」

と整理する。

これが、自律性を支える関わりです。

親の関与は、多ければ多いほどよいわけではない

親が子どもの学習へ関わることには、さまざまな形があります。

学習環境を整える。

時間を決める。

励ます。

質問に答える。

一緒に計画を考える。

答えを教える。

課題を代わりに進める。

学校へ連絡する。

問題を解決する。

これらは、すべて同じ「親の関与」ではありません。

Patall、Cooper、Robinsonは2008年、宿題への親の関与に関する研究を統合しました。

親へのトレーニングを操作した14研究のメタ分析では、宿題の完了率や宿題上の問題の減少などに肯定的な結果が見られました。

一方、20研究22サンプルの相関研究では、親の関与と学業成果との関係は、学年や関与の方法によって異なりました。中学生では、関与と成果の間に否定的な関連が見られた分析もありました。

この結果は、親が関われば関わるほど成績が上がる、という単純な関係ではないことを示しています。

また、709人の保護者を対象に宿題への関与を調べた研究では、自律性支援、直接的関与、気を散らすものの除去、干渉など、複数の関わり方が区別されました。

学年が上がるほど、保護者は自律性を多く認め、その他の直接的な関与を減らす傾向が報告されています。

重要なのは、

関わるか、関わらないか

ではありません。

どのように関わるかです。

親が問題を解いてしまえば、宿題は完成します。

親が学校へ連絡すれば、その場の対立は収まるかもしれません。

しかし、それが子どもの理解や問題解決能力を育てるとは限りません。

問題解決の外部化とは何か

ここでいう問題解決の外部化とは、本来、本人が担うべき問題の整理や意思決定、説明、交渉、修正を、周囲の大人へ移してしまうことです。

例えば、

学習計画表を書かなかった。

先生から理由を聞かれた。

本人はその場で説明しなかった。

家へ帰って親へ不満を話した。

親が塾へ連絡し、

「本人は忙しかったので仕方ありません」

と説明する。

この時、本来本人が行うべきだった、

なぜ書かなかったのか。

何が妨げになったのか。

次はどうするのか。

どのような支援が必要なのか。

という問題解決が、親へ移っています。

これが繰り返されると、子どもは、

自分の問題を自分で説明する。

相手の話を聞く。

自分にも改善点があるか検討する。

必要な支援を具体的に求める。

という経験を積みにくくなります。

もちろん、小学生と高校生では必要な支援量が違います。

発達特性や不安の強さによっても異なります。

すべてを本人だけに任せることが自立ではありません。

自立とは、孤立することではないからです。

必要な時に助けを求め、その助けを使いながら、自分で問題へ関わることが自立です。

親が前に出るべき場面

「問題解決を代行しない」という言葉を、親は何もしないという意味に受け取ってはいけません。

次のような場面では、大人が前に出る必要があります。

いじめや暴力が疑われる。

人格を否定する発言が繰り返されている。

差別的な扱いがある。

安全が脅かされている。

本人が強い不安や抑うつ状態にある。

自傷や希死念慮が疑われる。

年齢や発達段階から、自分で説明することが難しい。

相手との権力差が大きく、本人だけで話すことが危険である。

本人が何度伝えても改善されない。

このような状況では、

「自分で解決しなさい」

と突き放してはいけません。

保護者、学校、塾、医療、心理、福祉などが連携して対応する必要があります。

大切なのは、

親が介入するか、しないか

の二択ではありません。

本人の安全と発達段階に応じて、どこまで支え、どこから本人へ返すかを調整することです。

親がすぐに学校や塾へ連絡する前に確認したいこと

子どもが強く訴えた時、まず次の順番で話を聞くと整理しやすくなります。

1.感情を受け止める

「それは悔しかったね」

「怖かったんだね」

「自分だけ責められたように感じたんだね」

最初から反論しません。

2.出来事を具体化する

いつ起きたのか。

どこで起きたのか。

誰がいたのか。

先生は具体的に何と言ったのか。

自分はその前に何をしたのか。

自分は何と答えたのか。

その後どうなったのか。

3.感情と事実を分ける

「先生に嫌われたと思った」は感情や解釈です。

「先生が『提出期限を守ってください』と言った」は出来事です。

両方を分けて整理します。

4.本人が変えられる部分を考える

提出が遅れたのか。

約束を忘れたのか。

説明せずに黙っていたのか。

質問する機会を使わなかったのか。

本人にも修正できる部分があるか確認します。

5.相手側へ確認すべきことを決める

先生の意図。

指導基準。

他の生徒への対応。

今後の支援方法。

これらを確認します。

6.誰が、どのように伝えるかを決める

本人が伝える。

親が同席する。

事前に伝える内容を一緒に整理する。

保護者が先に状況を説明する。

第三者を交える。

本人の状態や問題の重大さに応じて決めます。

子ども本人に返すべき3つの問い

保護者が問題をすべて代行しないためには、子どもへ次の3つを問い返すことが有効です。

「あなたは、どう感じたの?」

まず感情を言葉にします。

怒り。

悔しさ。

怖さ。

恥ずかしさ。

悲しさ。

感情が整理されると、出来事を考えやすくなります。

「実際には、何が起きたの?」

解釈ではなく、確認できる出来事を順番にします。

「あなたは、次にどうしたいの?」

謝りたい。

誤解を解きたい。

先生の意図を聞きたい。

課題の量を相談したい。

一人では怖いので同席してほしい。

少し時間を置きたい。

本人の意思を確認します。

親が解決策を即座に決めるのではなく、子ども自身にも考えさせます。

STUDY HOUSEで起きやすい具体的な場面

STUDY HOUSEでは、学習計画表、課題、確認テスト、再テスト、教科書作りなどについて、生徒へ厳しく確認することがあります。

例えば、

学習計画表に空欄がある。

課題が予定どおり進んでいない。

確認テストを避けている。

教科書作りが不十分である。

REPLAYが行われていない。

こうした場合に、

「なぜできなかったのか」

「次はどう修正するのか」

を確認します。

生徒によっては、この問いを、

責められた。

否定された。

信用されていない。

と感じることがあります。

家へ帰ると、

「ちゃんとやっているのに怒られた」

「先生は自分の話を聞いてくれない」

と話すこともあります。

ここで保護者が、

「うちの子は頑張っているのだから、もう厳しく言わないでください」

とすべてを引き受けてしまうと、学習上の課題が残ったままになる可能性があります。

反対に、

「先生が正しい。あなたが悪い」

と切り捨てれば、生徒は自分の気持ちを話せなくなります。

だからSTUDY HOUSEでは、できる限り本人を含めて確認します。

どの言葉がつらかったのか。

何を責められたと感じたのか。

実際には何ができていたのか。

何ができていなかったのか。

指導側の伝え方に改善点はなかったか。

本人の行動で修正すべき点は何か。

次から、どう伝え合うか。

ここまで整理します。

STUDY HOUSEでの実装① 本人の言葉を先に確認する

保護者から連絡があった場合でも、可能な限り生徒本人の説明を確認します。

ただし、

「お母さんがこう言っていたけれど、本当なの?」

と追及する形にはしません。

まず、

「昨日のことを、あなたはどう感じた?」

と聞きます。

その上で、

「実際に起きたことを順番に教えて」

と整理します。

本人の感情と、保護者の解釈と、指導者側が見た出来事が一致するとは限りません。

三者の情報を重ね、共通して確認できる部分と、認識が異なる部分を分けます。

STUDY HOUSEでの実装② 親へ結果だけでなく過程を共有する

家族LINEなどで学習状況を共有する際には、

「課題をやっていません」

だけで終わらせないことが重要です。

どの課題が未実施だったのか。

本人はどのように説明したのか。

どの支援を行ったのか。

次に何をすることになったのか。

可能な範囲で過程を共有します。

情報が不足していると、家庭では子どもの説明だけが唯一の情報になります。

指導側の事実認識も共有することで、保護者が一方の説明だけで判断しにくくなります。

ただし、家族LINEが監視や公開処罰のようになれば、子どもの心理的安全性を損ないます。

共有する目的は、子どもを責めることではありません。

家庭と塾が、同じ事実をもとに支援するためです。

STUDY HOUSEでの実装③ 本人が話す場を残す

三者面談では、保護者と指導者だけで話を進めないようにします。

本人へ、

今、何に困っているのか。

自分は何ができたと思うか。

何ができなかったか。

どの支援が必要か。

次に何を変えるか。

を聞きます。

本人がうまく話せない時には、選択肢を提示したり、事前に書かせたりします。

しかし、最終的には本人の言葉を残します。

受験するのは本人です。

学習計画を実行するのも本人です。

自分の状態を説明し、必要な支援を求める力は、受験後の高校・大学・社会生活でも必要になります。

STUDY HOUSEでの実装④ 支援を段階的に減らす

最初からすべて自分でできる生徒ばかりではありません。

そこで、支援を段階的に調整します。

最初は、講師と一緒に説明内容を考える。

次は、本人が話し、保護者や講師が補足する。

その次は、本人が一人で相談し、後から共有する。

このように、支援を徐々に減らします。

これは、支援を突然なくすことではありません。

本人の能力に合わせて、問題解決の主導権を少しずつ本人へ返すことです。

科学的知見から言えること

ここまでの研究から、次のことが示唆されます。

子どもが感情や失敗を話せる安全な関係は、学習や援助要請の土台になります。

親の自律性支援は、子どものより自律的な自己調整や学校適応と関連します。

親の関与は、その量だけでなく、関わり方によって結果が異なります。

統制的な関与や過度の干渉よりも、理由を説明し、子どもの視点を認め、本人に適切な選択と責任を残す支援が重要です。

子どもの代わりに問題解決を完了するよりも、本人が問題へ参加できる形で支える必要があります。

研究からは断定できないこと

一方、研究上の限界もあります。

家族システム論や三角関係化は、複雑な家族関係を理解するための理論的枠組みです。

一つの親子トラブルだけを見て、

「この家庭は三角関係化している」

と断定するべきではありません。

自律性支援に関する研究には、相関研究も多く含まれます。

親が自律性を支援するから子どもの成績が高くなる可能性だけでなく、もともと自己調整できる子どもに対して親が自律性を認めやすい可能性もあります。

心理的安全性の代表的研究は、成人の職場チームを対象としたものです。

家庭や学校へ応用する際には、発達段階や関係性の違いを考慮する必要があります。

また、子どもが自分で問題を解決できない背景には、

発達特性。

強い不安。

抑うつ。

トラウマ経験。

言語化の困難。

実際のハラスメント。

家庭内の緊張。

などが関係している場合もあります。

したがって、

「親が代わりに話すから、子どもが自立できない」

と単純化してはいけません。

必要な支援量は、生徒ごとに異なります。

最後に

子どもが家へ帰って、

「自分は悪くない」

と強く主張した時、親はどうすればよいのでしょうか。

まず、感情を受け止めることです。

「悔しかったね」

「怖かったね」

「分かってもらえないと感じたんだね」

子どもが感じたことを、すぐに否定しない。

しかし、そこで終わらせません。

何が実際に起きたのか。

子どもは何をしたのか。

相手は何と言ったのか。

本人の説明と確認できる事実は一致しているか。

相手側の説明も聞く必要があるか。

本人にも修正すべき点はあるか。

ここを整理します。

そして、問題をすべて親が引き受けないことです。

親が電話をする前に、

「あなたは相手に何を伝えたい?」

と聞く。

親が解決策を決める前に、

「あなたは、どうしたい?」

と聞く。

一人で話すのが難しければ、

「どこまで一緒に支えれば話せそう?」

と考える。

親は、子どもの感情を受け止める。

危険があれば守る。

必要な時には前へ出る。

しかし、事実確認と問題解決のすべてを代行しない。

子ども自身が、問題解決へ参加できる部分を残す。

これが、自分で自分の人生を動かせる人を育てるために必要な支援です。

本当の自立とは、誰にも頼らないことではありません。

自分の感情を言葉にする。

事実を確認する。

自分の改善点を認める。

必要な助けを具体的に求める。

そして、支援を受けながら自分で一歩を踏み出す。

その力を家庭と教育の場で育てることが大切だと、私たちは考えています。

主要参考文献

Bowen, M.(1978). Family Therapy in Clinical Practice. Jason Aronson.

Minuchin, S.(1974). Families and Family Therapy. Harvard University Press.

Edmondson, A. C.(1999). Psychological safety and learning behavior in work teams. Administrative Science Quarterly, 44(2), 350–383.

Grolnick, W. S., & Ryan, R. M.(1987). Autonomy in children’s learning: An experimental and individual difference investigation. Journal of Personality and Social Psychology, 52(5), 890–898.

Grolnick, W. S., & Ryan, R. M.(1989). Parent styles associated with children’s self-regulation and competence in school. Journal of Educational Psychology, 81(2), 143–154.

Joussemet, M., Koestner, R., Lekes, N., & Landry, R.(2005). A longitudinal study of the relationship of maternal autonomy support to children’s adjustment and achievement in school. Journal of Personality, 73(5), 1215–1235.

Patall, E. A., Cooper, H., & Robinson, J. C.(2008). Parent involvement in homework: A research synthesis. Review of Educational Research, 78(4), 1039–1101.

Pomerantz, E. M., Moorman, E. A., & Litwack, S. D.(2007). The how, whom, and why of parents’ involvement in children’s academic lives: More is not always better. Review of Educational Research, 77(3), 373–410.

STUDY HOUSEでは、保護者が抱え込まず、生徒本人が問題解決へ参加できるよう支援します

STUDY HOUSEでは、生徒の感情を否定せずに受け止めながら、感情、解釈、事実を分けて確認することを大切にしています。

学習計画表。

家族LINE。

個別面談。

三者面談。

テスト分析。

日々のフィードバック。

これらは、生徒を責めるためのものではありません。

本人、家庭、STUDY HOUSEが同じ事実を共有し、生徒自身が次の行動を考えられるようにするための仕組みです。

保護者がすべて管理しなければ動けない。

先生が毎回答えを出さなければ進めない。

問題が起きるたびに、大人が本人の代わりに解決する。

その状態を、私たちは最終的なゴールとは考えていません。

最初は伴走します。

一緒に状況を整理します。

必要な言葉を一緒に考えます。

しかし、少しずつ本人へ主導権を返します。

目指すのは、

自分の感情を理解できる。

自分の行動を振り返れる。

相手の話も聞ける。

自分の考えを言葉にできる。

必要な時に助けを求められる。

そして、失敗後の行動を自分で修正できる生徒です。

「子どもの訴えをどこまで信じ、どこから事実確認をすればよいか分からない」

「親が言わなければ、本人が先生へ相談できない」

「問題が起こるたびに、家庭と学校・塾の間で話が食い違う」

「勉強だけでなく、自分で問題を解決する力も身につけてほしい」

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