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物事を変えられるのはあなた自身を変えた時のみであると。
それしかないんです。他人を変えることはできません。
失望や悲しみ、怒りといった感情を感じる時、
環境のせいにしてはいけません。
困難があるときこそ、深呼吸をしてリラックスをして、その問題について
どう改善できるかのみ考えるべきです。ー本田圭佑ー
成績が悪いのは、先生や問題のせいなのか
言い訳と他責を生む自己防衛
テストが返却された時、生徒から次のような言葉を聞くことがあります。
「今回の問題は難しすぎました」
「先生が授業で説明していませんでした」
「時間が足りませんでした」
「問題との相性が悪かったです」
「ケアレスミスをしただけです」
「今回は体調が悪かったので仕方ありません」
もちろん、本当に問題が難しかったこともあります。
授業で十分に扱われていない内容が出題された可能性もあります。
体調不良や時間配分の失敗が、得点へ大きく影響したこともあるでしょう。
したがって、生徒が口にする理由を最初からすべて「言い訳」と決めつけるべきではありません。
しかし、毎回のように失敗の原因が自分の外側に置かれ、
「では、自分は次に何を変えるのか」
という話へ進まないのであれば、注意が必要です。
人間は、悪い結果が出た時に、必ずしも冷静かつ客観的に原因を分析するわけではありません。
自分の能力や努力不足を認めれば、自尊心が傷つくことがあります。
その不快感から自分を守るため、先生、問題、環境、体調、運などへ原因を置くことがあります。
これは、単純に性格が悪いから起こるわけではありません。
社会心理学や教育心理学では、人間が成功や失敗の原因をどのように説明するのか、その説明が感情や次の行動へどう影響するのかが長く研究されてきました。
今回の記事では、自己奉仕的帰属、帰属理論、認知的不協和、セルフハンディキャッピング、自尊心の防衛という観点から、「言い訳」と呼ばれる行動の裏側を考えます。
人は、結果が出ると「なぜそうなったのか」を考える
帰属理論の出発点となった研究者の一人が、社会心理学者Fritz Heiderです。
Heiderは1958年の著書『The Psychology of Interpersonal Relations』において、人間を、出来事の原因を日常的に推測する存在として捉えました。
私たちは、テストで60点だったという結果だけを受け取って終わりにはしません。
なぜ60点だったのか。
自分の能力が足りなかったのか。
勉強量が足りなかったのか。
問題が難しかったのか。
運が悪かったのか。
先生の教え方に問題があったのか。
こうした原因を探します。
このように、出来事や行動の原因を推測し、説明することを帰属と呼びます。
Heiderは、原因を大きく本人側の要因と環境側の要因に分けて捉えました。
受験勉強へ置き換えるなら、本人側の要因には、能力、努力、知識、集中力、学習方法などがあります。
環境側の要因には、問題の難しさ、授業内容、家庭環境、試験会場、運などがあります。
重要なのは、どちらか一方だけが常に正しいわけではないことです。
成績は、本人の努力だけで決まるものではありません。
問題の難易度、指導環境、心身の状態など、本人が完全にはコントロールできない要因も影響します。
一方で、すべてを環境のせいにすれば、自分で変えられる部分まで見えなくなります。
教育で必要なのは、内的原因だけを強調することでも、外的原因だけを認めることでもありません。
どの原因が実際に影響し、その中のどこを次に変えられるのかを分けて考えることです。
Weinerは、成功と失敗の原因を3つの次元で整理した
Bernard Weinerは、帰属理論を達成場面へ発展させました。
1985年に発表した理論では、成功や失敗の原因を、主に次の3つの次元から整理しています。
原因の所在
原因が、自分の内側にあるのか、外側にあるのか。
能力や努力は、一般に本人側の要因です。
問題の難しさや運は、環境側の要因として捉えられます。
安定性
その原因が、今後も続きやすいものなのか、変化しやすいものなのか。
「自分には数学の能力がない」と考えれば、比較的安定した原因として受け取りやすくなります。
「今回は復習量が不足していた」と考えれば、次回は変更できる一時的な原因として捉えられます。
統制可能性
その原因を、自分の行動によって変えられるのか。
学習時間、復習方法、質問の仕方、睡眠時間などは、程度の差はあっても比較的変更可能です。
一方、すでに実施されたテストの問題や、当日の偶発的な出来事は、後から変えることができません。
Weinerの理論では、原因をどう捉えるかが、次の成功への期待や、誇り、怒り、罪悪感、羞恥、絶望感などの感情へ影響し、その後の行動にもつながると考えます。
例えば、数学で30点だった生徒が、
「自分には数学の才能がない」
と考えた場合を想像してください。
原因を自分の内側にあり、安定していて、変えにくいものだと判断しています。
この帰属は、
「次もどうせできない」
という期待につながる可能性があります。
一方、
「公式を読んだだけで、何も見ずに使う練習をしていなかった」
と考えた場合はどうでしょう。
これは本人側の原因ですが、学習方法を変えることで修正できます。
同じ30点でも、原因の捉え方によって、次の行動は変わります。
自己奉仕的帰属とは何か
人間には、成功した時には原因を自分の能力や努力へ置き、失敗した時には外部の状況へ置きやすい傾向があります。
これを自己奉仕的帰属、self-serving attributional biasと呼びます。
例えば、テストで90点を取った時には、
「自分が努力したから」
「自分には実力があるから」
と考える。
一方、50点だった時には、
「問題が難しかったから」
「先生の説明が悪かったから」
「時間が足りなかったから」
と考える。
もちろん、成功が本人の努力によることも、失敗が環境要因によることもあります。
問題は、結果によって原因の選び方が一貫しなくなることです。
2004年に発表された自己奉仕的帰属に関するメタ分析では、肯定的な出来事と否定的な出来事について、原因の捉え方に自己を肯定する方向の偏りが見られることが確認されています。
ただし、その程度は年齢、文化、心理状態などによって異なり、すべての人に同じ強さで現れるわけではありません。
自己奉仕的帰属は、自尊心を守る役割を持つことがあります。
テストで失敗するたびに、
「自分には価値がない」
「自分は何をやっても駄目だ」
と受け取っていては、心理的に大きな負担が生じます。
だから人は、
「今回は問題が悪かった」
と考えることで、自分自身の価値を守ろうとします。
この働き自体を、すべて悪いものとして扱うべきではありません。
人間には、心を守る機能も必要です。
しかし、心を守る説明が固定化し、自分の行動を一切修正しなくなれば、同じ失敗を繰り返します。
短期的には自尊心を守れても、長期的には成績を守れなくなるのです。
「自分は頑張った」と「結果が悪かった」の間に生じる矛盾
言い訳を考える上で重要なもう一つの概念が、Leon Festingerの認知的不協和理論です。
認知的不協和とは、自分の中に矛盾する認識が存在した時に生まれる心理的な不快感を指します。
例えば、生徒の中に次の2つの認識があるとします。
「自分は十分に勉強した」
「しかし、テストの点数は悪かった」
この2つは、そのままでは整合しにくい情報です。
本当に十分に勉強したのであれば、なぜ点数が悪かったのか。
この矛盾を解消する方法はいくつかあります。
一つは、自分の認識を修正することです。
「勉強時間は長かったが、再テストをしていなかった」
「問題集は終わらせたが、自力で解ける状態ではなかった」
と考える。
これは、自己認識を現実に合わせて修正する方法です。
しかし、これは心理的に簡単ではありません。
自分の努力が十分ではなかったことや、学習方法が間違っていたことを認める必要があるからです。
そこで別の方法として、
「問題が悪かった」
「先生の出し方がおかしかった」
「今回は特殊だった」
と説明する。
そうすれば、
「自分は十分に頑張った」
という自己認識を維持できます。
FestingerとJames Carlsmithが1959年に発表した有名な実験では、参加者が単調な課題を行った後、次の参加者へ「課題は面白かった」と伝えるよう求められました。
報酬が十分に大きくなかった参加者ほど、自分の態度を「実は多少面白かった」と変化させる傾向が示されました。
外的な理由が小さい時、人は自分の内側の認識を変えることで矛盾を減らそうとしたと解釈されています。
この実験をそのまま中高生へ当てはめることはできません。
しかし、人は自分の認識と現実の間に矛盾が生じた時、その不快感を減らす方向へ説明を変えることがある、という視点は学習場面でも重要です。
「勉強しなかった」のではなく、「勉強できなかった」と説明する
テスト前になると、急に部屋を片づける。
必要以上にノートをきれいに作る。
新しい参考書を買う。
友人との連絡を優先する。
前日に夜更かしをする。
「部活動で疲れたから」と言いながら、スマートフォンは長時間使う。
こうした行動の一部は、単純な先延ばしとして説明できます。
しかし、場合によっては、失敗した時の理由をあらかじめ用意する働きを持つことがあります。
これをセルフハンディキャッピング、self-handicappingと呼びます。
セルフハンディキャッピングとは、評価される場面の前に、自分の成功を妨げる障害を作ったり、障害の存在を強調したりすることです。
なぜ、自分から不利になる行動を選ぶのでしょうか。
それは、失敗した時に、
「能力がなかったからではない」
と説明できるからです。
勉強せずに悪い点数を取れば、
「勉強しなかっただけ」
と言えます。
十分に準備して悪い点数を取れば、
「努力してもできなかった」
という可能性に向き合わなければなりません。
後者の方が、自尊心にとって強い脅威になる場合があります。
そこで、
「本気を出していなかった」
という逃げ道を残すのです。
JonesとBerglasは、セルフハンディキャッピングをどう実験したのか
Steven BerglasとEdward Jonesは1978年、セルフハンディキャッピングを検討する実験を発表しました。
実験では、大学生が問題解決課題へ取り組みました。
一方の条件では解ける問題が出され、別の条件では実際には解けない問題が含まれていました。
その後、参加者全員へ成功したというフィードバックが与えられました。
解ける問題へ取り組んだ参加者は、
「自分の能力によって成功した」
と考えやすい状態です。
一方、解けない問題へ取り組んだのに成功したと伝えられた参加者は、
「なぜ自分が成功したのか分からない」
という不確かな状態になります。
その後、再び課題を行う前に、成績を高めると説明された薬と、成績を低下させると説明された薬のどちらかを選ぶ機会が与えられました。
もちろん、実際に能力を低下させる薬を投与する研究ではありません。
重要なのは、参加者がどちらを選ぶかです。
結果として、自分の成功が能力によるものか確信を持てない条件では、次の失敗に対する説明を確保するかのように、成績を妨げるとされた選択肢が選ばれやすくなりました。
原研究では性差も報告されており、結果をすべての人へ同じように一般化することには注意が必要です。
それでもこの研究は、人が失敗の危険を避けるためではなく、失敗した時の自己評価を守るために、自ら障害を作る可能性を示しました。(PubMed)
受験生に見られるセルフハンディキャッピング
受験生のセルフハンディキャッピングは、必ずしも本人が明確に計算して行っているわけではありません。
本人も自覚せずに、失敗への逃げ道を作っていることがあります。
例えば、
「今回は部活動で忙しかったから」
「本気で勉強していなかったから」
「前日は寝ていないから」
「参考書が自分に合わなかったから」
「塾の課題が多すぎたから」
こうした理由が、すべて嘘だとは限りません。
実際に忙しかったことも、睡眠不足だったことも、教材が合わなかったこともあるでしょう。
しかし、次のような状態が繰り返されるなら、注意が必要です。
自分で睡眠時間を削ったのに、睡眠不足を失敗の理由にする。
計画どおりに勉強しなかったのに、時間がなかったと説明する。
確認テストを避けたのに、本番で思い出せなかったことを問題のせいにする。
質問する機会があったのに質問せず、教えてもらっていないと言う。
ここでは、障害が「起きた」のではなく、自分の行動によって障害を大きくしている可能性があります。
そして、その障害が失敗の説明として使われています。
言い訳を責めるだけでは、自己防衛はさらに強くなる
生徒が他責的な言葉を口にした時、
「言い訳するな」
「全部、自分の責任だ」
「人のせいにするな」
と強く言いたくなることがあります。
もちろん、責任を引き受ける姿勢は必要です。
しかし、言い訳が自尊心を守るための防衛として生じている場合、正面から強く否定するだけでは、防衛がさらに強まることがあります。
「自分が悪いと認めさせられる」
と感じれば、生徒は自分を守るために、さらに多くの理由を並べるかもしれません。
大切なのは、言い訳をそのまま認めることでも、すぐに叩き潰すことでもありません。
まず、主張されている原因を事実として検証することです。
本当に問題は難しかったのか。
平均点は何点だったのか。
同じ単元の基本問題は解けていたのか。
授業で扱われていなかったのか。
教科書には載っていたのか。
時間が足りなかった原因は何か。
読む速度か。
問題の解く順番か。
知識不足で止まったのか。
練習不足だったのか。
「先生が悪い」「自分が悪い」という二択にせず、原因を細かく分解します。
変えられる原因と、変えられない原因を分ける
テスト後の分析で最も重要なのは、原因を道徳的に裁くことではありません。
次の行動を決めることです。
そのためには、原因を次のように分けます。
自分で変えられる原因
学習開始時期。
勉強時間。
学習方法。
再テストの回数。
質問したかどうか。
睡眠時間。
スマートフォンの使い方。
問題を解く順番。
見直しの方法。
暗記の反復回数。
自分だけでは変えにくい原因
家庭の事情。
学校行事の日程。
部活動の時間。
体質や健康上の制約。
授業の進度。
自分では変えられない原因
すでに出題された問題。
終了した試験時間。
当日の偶発的な出来事。
他人の行動。
過去に起きたこと。
変えられない原因を何度考えても、次の得点は上がりません。
一方、自分で変えられる部分を具体化できれば、次の行動につながります。
例えば、
「時間が足りなかった」
だけで終わらせない。
なぜ足りなかったのか。
一問に時間をかけすぎたのか。
計算が遅かったのか。
知識を思い出すまでに時間がかかったのか。
問題を最初から順番に解いたのか。
見直し時間を残さなかったのか。
原因が違えば、対策も違います。
「努力不足」で一括りにしない
原因を本人側へ向ければ、それで分析が深くなるわけではありません。
「努力不足だった」
「もっと頑張る」
「次は本気を出す」
これだけでは、次の行動は変わりません。
努力不足という言葉は範囲が広すぎます。
何が不足していたのかを分解する必要があります。
開始時期が遅かった。
学習時間が少なかった。
復習間隔が空きすぎた。
確認テストを行わなかった。
誤答を分類しなかった。
暗記に偏り、問題演習が不足した。
問題演習はしたが、基礎知識が不足していた。
学習計画と実績の差を修正しなかった。
ここまで具体化すれば、次の行動を決められます。
責任を持つとは、すべてを自分のせいにすることではありません。
自分が変えられる部分を引き受け、次の行動へ変えることです。
「ケアレスミス」は原因ではない
STUDY HOUSEで特に注意している言葉の一つが、
「ケアレスミスでした」
です。
ケアレスミスという言葉は、説明したようで、ほとんど何も説明していないことがあります。
符号を見落とした。
問題文の条件を読み飛ばした。
単位を書かなかった。
途中式を省略した。
似た公式を混同した。
時間がなく、見直しができなかった。
これらはすべて、異なる原因です。
それなのに、まとめて「ケアレスミス」と呼べば、
「本当はできた」
「能力には問題がない」
という自己評価を守れます。
しかし、同じミスを繰り返しているなら、それは偶然ではありません。
見直し方法、読解方法、計算手順、知識の区別など、何らかの学習課題があります。
だからSTUDY HOUSEでは、MISTAKEを分類します。
読解不足。
条件落とし。
理解不足。
暗記不足。
解法選択ミス。
立式ミス。
計算ミス。
図表変換不足。
記述不足。
慣れ不足。
時間不足。
見直し不足。
原因を分ければ、対策を変えられます。
先生や問題に原因がある場合も、当然ある
ここで、重要な注意があります。
この記事は、
「成績が悪いのは、すべて生徒本人の責任だ」
と主張するものではありません。
不適切な問題が出題されることもあります。
授業で十分に説明されていないこともあります。
評価基準が曖昧な場合もあります。
生徒に対する不公平な対応が起きる可能性もあります。
教材の難易度が、現在の学力に合っていないこともあります。
指導者側の説明不足や課題設定の誤りもあります。
したがって、生徒が外的原因を挙げた時には、まず事実を確認する必要があります。
しかし、仮に問題や指導に改善点があったとしても、
「では、自分が次にできることは何か」
という問いは残ります。
先生へ質問する。
別の解説を確認する。
教科書へ戻る。
基礎問題からやり直す。
早めに相談する。
問題の傾向へ対応する練習をする。
環境に問題があることと、自分の行動を修正することは両立します。
自分を責めすぎることも、適切な帰属ではない
他責だけが問題なのではありません。
テストで失敗した時に、
「自分は頭が悪い」
「自分には才能がない」
「何をやっても無理だ」
と、すべてを自分の固定的な能力へ帰属する生徒もいます。
これは自分へ責任を向けているように見えますが、改善にはつながりにくい説明です。
なぜなら、
「能力がない」
という原因は、本人にとって安定していて、変えにくいものと感じられるからです。
このような帰属は、
「努力しても結果は変わらない」
という無力感を生む可能性があります。
大切なのは、
外に原因を置くか。
自分に原因を置くか。
という二択ではありません。
原因を、具体的で、検証可能で、修正可能な形へ変えることです。
「数学の才能がない」
ではなく、
「一次関数と図形を結びつける問題で、条件を図へ移せていなかった」
と考える。
「先生が悪い」
ではなく、
「授業で理解できなかった時に、その日のうちに質問しなかった」
と考える。
「問題が難しすぎた」
ではなく、
「基本問題は解けたが、複数の知識を組み合わせる演習が不足していた」
と考える。
このような分析であれば、次の行動を決められます。
STUDY HOUSEでは、感情と事実を分けて振り返る
テストが悪ければ、悔しい。
怒りたい。
逃げたい。
恥ずかしい。
誰かのせいにしたい。
こうした感情が生じること自体は、自然です。
STUDY HOUSEでは、感情を持つことを否定しません。
しかし、感情だけで原因を決めないようにします。
「先生の問題が悪いと思った」
これは本人の感情や解釈です。
では、事実はどうだったのか。
平均点は何点か。
教科書の範囲内か。
同じ形式を練習していたか。
自分は何を準備したか。
何問を自力で解ける状態にしていたか。
再テストをしたか。
事実を並べた上で、原因を考えます。
そして最後に、
「次は何を変えるか」
を決めます。
この過程が、学習計画表、テスト分析シート、BLACKノート、MISTAKE分類、週次面談につながっています。
言い訳を、改善のための仮説へ変える
「時間が足りなかった」
と言われたら、それをただ言い訳として捨てる必要はありません。
仮説として扱います。
本当に時間不足だったのか。
なぜ時間不足になったのか。
次のテストで検証できる対策は何か。
大問ごとの目標時間を決める。
解く順番を変える。
計算練習を増やす。
知識問題の回答速度を上げる。
残り10分で一度全体を確認する。
次のテストで実行する。
結果を記録する。
これで、「時間が足りなかった」という言葉は、逃げ道ではなく、改善の仮説になります。
「先生の説明が分かりにくかった」
なら、
授業後に教科書で確認する。
質問を一つ作る。
別の解説を読む。
STUDY HOUSEで説明を受ける。
自分で説明し直す。
という行動へ変えられます。
言い訳を責めるのではありません。
言い訳の中に含まれる事実を取り出し、自分が変えられる行動へ翻訳するのです。
研究から言えることと、言えないこと
帰属理論は、人が成功や失敗の原因をどう捉えるかが、感情や期待、行動へ関係することを説明します。
認知的不協和理論は、矛盾する認識が生じた時、人が不快感を減らす方向へ態度や説明を変える可能性を示します。
セルフハンディキャッピング研究は、評価への脅威を感じた時、失敗の説明を確保するために自ら障害を作ることがあると示唆します。
しかし、これらの概念だけで、特定の生徒の言葉を断定的に解釈することはできません。
「先生が悪い」と言ったから自己奉仕的帰属である。
「忙しかった」と言ったからセルフハンディキャッピングである。
このように、心理学用語で生徒へレッテルを貼るべきではありません。
外的原因が事実である場合もあります。
心身の不調、発達特性、家庭の事情、学校環境など、本人の努力だけでは解決できない問題もあります。
研究概念は、生徒を裁くためではなく、
「この説明の背後に、どのような心理的機能がある可能性があるか」
を考えるために使うものです。
最後に
成績が悪かった時、人は原因を探します。
先生。
問題。
時間。
体調。
運。
能力。
努力。
学習方法。
その中には、事実もあります。
自分を守るための説明もあります。
大切なのは、すべてを本人の責任にすることではありません。
すべてを環境の責任にすることでもありません。
変えられる原因と、変えられない原因を分けることです。
変えられないことは、事実として受け止める。
支援が必要なことは、助けを求める。
環境側の問題は、周囲へ改善を働きかける。
そして、自分で変えられることは、次の行動へ変える。
「問題が難しかった」
で終わらず、
どの知識が不足していたのかを確認する。
「時間が足りなかった」
で終わらず、
なぜ足りなかったのかを分析する。
「ケアレスミスだった」
で終わらず、
どの手順を変えるのかを決める。
「先生の説明が分かりにくかった」
で終わらず、
質問、教科書、別解説、再現の方法を考える。
責任を持つとは、自分を責めることではありません。
自分が変えられる部分を見つけ、次の行動を引き受けることです。
これが、失敗を次の成績へつなげる本当の振り返りです。
主要参考文献
Heider, F.(1958). The Psychology of Interpersonal Relations. John Wiley & Sons.
Festinger, L.(1957). A Theory of Cognitive Dissonance. Stanford University Press.
Festinger, L., & Carlsmith, J. M.(1959). Cognitive consequences of forced compliance. Journal of Abnormal and Social Psychology, 58(2), 203–210.
Jones, E. E., & Berglas, S.(1978). Control of attributions about the self through self-handicapping strategies: The appeal of alcohol and the role of underachievement. Personality and Social Psychology Bulletin, 4(2), 200–206.
Berglas, S., & Jones, E. E.(1978). Drug choice as a self-handicapping strategy in response to noncontingent success. Journal of Personality and Social Psychology, 36(4), 405–417.
Weiner, B.(1985). An attributional theory of achievement motivation and emotion. Psychological Review, 92(4), 548–573.
Mezulis, A. H., Abramson, L. Y., Hyde, J. S., & Hankin, B. L.(2004). Is there a universal positivity bias in attributions? A meta-analytic review of individual, developmental, and cultural differences in the self-serving attributional bias. Psychological Bulletin, 130(5), 711–747.
STUDY HOUSEでは、失敗を「次に変える行動」まで分析します
STUDY HOUSEでは、テストの点数を見て終わりにはしません。
学習計画表、テスト分析シート、BLACKノート、MISTAKE分類、確認テスト、REPLAYを使い、
なぜ間違えたのか。
何が不足していたのか。
どこは自分で変えられるのか。
次にどの行動を変えるのか。
そこまで一緒に考えます。
「自分が悪い」と責めて終わる学習でもありません。
「先生や問題が悪い」と外へ原因を置いて終わる学習でもありません。
事実を確認し、原因を分け、修正可能な行動を決める。
そして、実行し、もう一度確認する。
このサイクルを通して、失敗を成長のためのデータへ変えていきます。
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