
「中学生から大学進学を目指すならSTUDY HOUSE」
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上には上がおると思うたびに面白くなる。次こいつ抜いたろう、みたいな。
競い合いをゲームだと思って楽しんでいる。ー本田圭佑ー
「分かっています」が危ない
人はなぜ、自分の理解度を正確に判断できないのか
「先生、それは分かっています」
「そこは大丈夫です」
「もう覚えました」
「この問題はできます」
STUDY HOUSEで生徒と接していると、こうした言葉を聞くことがあります。
もちろん、本当に理解している生徒もいます。
しかし、私たちが注意しているのは、
「本人が分かっていると思っていること」と「実際にできること」は、必ずしも一致しない。
ということです。
「じゃあ、説明してみて」
と聞くと、言葉にできない。
「何も見ないでもう一度解いてみよう」
と言うと、途中で止まる。
「この問題、テストで何点取れると思う?」
と予測させると、「80点くらい」と答える。
しかし、実際には50点だった。
ここで重要なのは、生徒が嘘をついているとは限らないということです。
本人は本当に、
「分かっている」
と思っていることがあります。
では、なぜ人間は、自分自身の理解度を正確に判断することが難しいのでしょうか。
この問題を考える鍵になるのが、教育心理学・認知心理学におけるメタ認知です。
メタ認知とは「自分の頭の中を、もう一人の自分が見る力」
メタ認知(metacognition)という概念を研究する上で重要な役割を果たしたのが、心理学者John H. Flavellです。
Flavellは1979年の論文で、人が自分自身の記憶や理解、認知活動について知り、それをモニタリングする働きを論じました。
簡単に言えば、
「自分は何を知っているのか」
「自分は何を知らないのか」
「どこまで理解できているのか」
「このままの勉強方法で大丈夫なのか」
を、自分自身で把握する力です。
STUDY HOUSEで私たちが学習計画表に振り返りを書かせる理由の一つも、ここにあります。
今日、何をやったのか。
何ができたのか。
何ができなかったのか。
なぜ予定どおり進まなかったのか。
次はどう修正するのか。
これを言語化する。
単に勉強の記録を残しているのではありません。
自分自身の学習を、自分自身で観察する訓練をしているのです。
「分かった」と「分かった気がする」は違う
例えば、数学の授業を受けたとします。
先生の説明は非常に分かりやすかった。
板書もきれいだった。
解説を聞きながら、
「なるほど」
「そういうことか」
と思った。
この時、生徒の中には、
「理解した」
という感覚が生まれます。
しかし、翌日、同じ問題を一人で解こうとすると、
「あれ?」
となる。
これはなぜでしょうか。
一つの理由として考えられるのが、流暢性(fluency)を手掛かりにした判断です。
人間は、情報がスムーズに処理できると、
「これは分かっている」
「これは覚えている」
と判断しやすくなります。
何度も読んだ教科書。
見慣れた英単語。
先生が丁寧に説明してくれた数学の解法。
一度解説を読んだ問題。
こうした情報は、接触を繰り返すことで「見慣れたもの」になります。
すると、
見れば分かる。
読めば分かる。
説明を聞けば分かる。
という状態になります。
問題は、その「処理しやすさ」を「自分の理解度」と取り違えることです。
Bjorkらの学習研究でも、学習中のパフォーマンスや主観的な「学びやすさ」が、長期的な学習成果をそのまま反映するとは限らないことが指摘されています。
学習中にはスムーズにできていたことが、時間を空けたテストでは再現できない。
逆に、学習中には難しく感じられた方法が、長期的な保持には有効な場合もあります。
だから、
「スラスラ読めた」
「解説を理解できた」
「授業についていけた」
という感覚だけでは、学習の完成を判断できません。
学習判断――「自分は覚えられている」という予測は正しいか
認知心理学では、学習者が、
「これは後で思い出せそうだ」
「この問題はテストでもできそうだ」
と判断することを、学習判断(Judgment of Learning:JOL)と呼びます。
これは受験勉強でも非常に重要です。
なぜなら、生徒は常に自分の理解度を判断しながら、次に何を勉強するか決めているからです。
「これはできるから、もうやらなくていい」
「これは覚えたから、復習しなくていい」
「この単元は大丈夫だから、次へ進もう」
もし、この判断が正確なら問題ありません。
しかし、
実際にはできないのに、「できる」と判断してしまったらどうなるでしょう。
復習しません。
再テストもしません。
ブラックノートにも残しません。
暗記ツールにも入れません。
そして、テスト本番で初めて、
「覚えていなかった」
ことに気づきます。
つまり、
学習において怖いのは「できないこと」そのものではありません。
「できないことに、自分で気づいていないこと」です。
できないと分かっていれば、対策できます。
しかし、
「できると思っているけれど、実際にはできない」
という状態では、修正行動そのものが起こりません。
ダニング=クルーガー効果は、何を示したのか
自己評価と実際の能力のズレについて、有名な研究の一つがJustin KrugerとDavid Dunningによる1999年の研究です。
いわゆるダニング=クルーガー効果として広く知られています。
彼らは、ユーモア、文法、論理などの課題を用いた4つの研究を行い、参加者自身に自分の成績や能力を推定させました。
原著研究では、成績下位群の参加者が、自分の実際の成績を大きく上回る自己評価をする傾向が報告されました。
研究者たちは、その一因として、
課題を正しく遂行するために必要な能力と、自分の誤りを正しく認識するために必要な能力には重なる部分があるのではないか
と考えました。
つまり、
「何を間違えているのかを判断するためにも、ある程度の知識や技能が必要である」
ということです。
これは学習場面に置き換えると、非常に興味深い問題です。
例えば、英文法の知識が不足している生徒が、自分の英文法の弱点を正確に分析できるとは限りません。
数学の解法選択が苦手な生徒が、自分が「解法選択で間違えた」こと自体に気づけない場合もあります。
国語で文章の論理構造を読み取れていない生徒が、
「自分は読めている」
と思っていることもあります。
だからこそ、学習者の自己評価だけに学習管理を任せることには限界があります。
ただし「成績が低い人は自信過剰」と単純化してはいけない
ここは非常に重要です。
ダニング=クルーガー効果は、インターネット上などで、
「能力が低い人ほど、自分を優秀だと思っている」
という単純な意味で使われることがあります。
しかし、研究結果をそのように一般化するのは適切ではありません。
すべての成績下位者が自信過剰なわけではありません。
逆に、学力が高くても自己評価が不正確な人はいます。
また、ダニング=クルーガー効果として観察されるパターンについては、その後の研究で、回帰効果(regression to the mean)や測定誤差、得点の上限・下限など、統計的な要因が見かけ上のパターンを生み出している可能性も議論されています。
したがって、
「勉強ができない生徒は、自分の能力も分かっていない」
と決めつけるために、この研究を使うべきではありません。
教育で重要なのは、生徒にレッテルを貼ることではないからです。
むしろ私たちが注目すべきなのは、
人間の自己評価そのものが、完全には正確ではない。
という点です。
これは成績上位者にも下位者にも関係します。
だからこそ、
「自分では分かっていると思います」
だけで学習を終わらせない仕組みが必要なのです。
「分かりましたか?」という質問だけでは不十分
授業後に先生が、
「分かった?」
と聞く。
生徒が、
「はい、分かりました」
と答える。
これで授業終了。
教育現場ではよくある光景です。
しかし、メタ認知研究の観点から考えると、この確認方法には限界があります。
なぜなら、
「分かった?」
という質問は、生徒自身の主観的な理解感を聞いているだけだからです。
そこでSTUDY HOUSEでは、
「じゃあ、説明してみて」
「なぜ、この公式を使ったの?」
「問題文のどこを見て、この解き方だと思った?」
「解説を閉じて、もう一度やってみよう」
と確認します。
つまり、
「分かったか」
ではなく、
「再現できるか」
を見ます。
予測得点と実得点の「差」を見る
さらに重要なのが、自己評価を数値化することです。
例えばテスト前に、
「今回、何点取れると思う?」
と予測させる。
生徒が、
「80点」
と答えたとします。
実際の得点が78点なら、自己評価はかなり正確だったと言えます。
しかし、実際の得点が45点だったらどうでしょう。
重要なのは、
「45点だった」
という結果だけではありません。
80点取れると思っていた自分と、45点だった現実との間に35点の差があった。
この「35点」が、非常に重要な学習データになります。
なぜ、自分は80点取れると思ったのか。
何をもって「できる」と判断していたのか。
教科書を読んだからか。
問題集を一度解いたからか。
答えを見れば分かったからか。
テスト形式で確認していなかったからか。
ここを振り返ることで、
自分の「できる」という判断基準そのものを修正できます。
これを繰り返すことで、
「自分の理解度を正確に測る力」
を育てていくことができます。
これこそが、メタ認知能力を高める学習だと私たちは考えています。
STUDY HOUSEの学習計画表は「予定表」ではない
STUDY HOUSEでは、生徒に毎日、学習計画表を書いてもらっています。
これは単なるスケジュール管理表ではありません。
計画を書く。
実行する。
実績を書く。
できたことを書く。
できなかったことを書く。
計画との差を見る。
振り返る。
修正する。
そして、翌週の計画に反映する。
このサイクルを繰り返します。
つまり、
計画表を通して、自分自身の学習をモニタリングしているのです。
「今日は頑張った」
という感想ではなく、
「何を予定していたのか」
「実際に何をしたのか」
「どこまでできたのか」
「何ができなかったのか」
という事実を見る。
感情ではなく、記録を見る。
これが重要です。
「分かった」を証明する4つの方法
STUDY HOUSEでは、生徒の「分かりました」を、そのまま学習完了とは考えません。
私たちが確認したいのは、次の4つです。
- 予測できるか
テスト前に、自分がどの程度できるかを予測する。 - 説明できるか
なぜその答えになるのか、自分の言葉で説明する。 - 再現できるか
何も見ずに、自力でもう一度解く。 - 時間を空けてもできるか
翌日、3日後、1週間後に再テストする。
この4つを通して、
主観的な「分かった」
を、
客観的な「できた」
に変えていきます。
そして、
「できた」
を、
「時間が経ってもできる」
へ変えていく。
これが、STUDY HOUSEの考える学習です。
本当に怖いのは「できないこと」ではない
テストで間違えることは、怖いことではありません。
問題が解けないことも、恥ずかしいことではありません。
むしろ、学習中に間違えた方がいい。
なぜなら、
「自分はここが分かっていなかった」
と発見できるからです。
本当に怖いのは、
分かっていないのに、分かったと思っていること。
できないのに、できると思っていること。
覚えていないのに、覚えたと思っていること。
です。
だから、STUDY HOUSEでは生徒に問い続けます。
「本当に分かった?」
ではありません。
「じゃあ、何も見ないで説明できる?」
「もう一度、自分で解ける?」
「1週間後もできる?」
です。
学力を伸ばすために必要なのは、自信をなくすことではありません。
自分の現在地を、できるだけ正確に知ることです。
そして、
できていることは、自信にする。
できていないことは、課題にする。
その課題を、次の行動に変える。
この繰り返しです。
「分かっています」
その言葉で学習を終わらせない。
予測する。
説明する。
テストする。
時間を空ける。
もう一度やる。
そして、自分の予測と現実のズレを修正する。
学力を伸ばすとは、知識を増やすことだけではありません。
自分自身の「分かったつもり」を見抜けるようになること。
自分の学習状態を正確に把握し、自分で修正できるようになること。
その力こそが、やがて自分で学び続けられる生徒をつくるのだと、私たちは考えています。
主要参考文献
Flavell, J. H. (1979). Metacognition and cognitive monitoring: A new area of cognitive-developmental inquiry. American Psychologist, 34(10), 906–911.
Kruger, J., & Dunning, D. (1999). Unskilled and unaware of it: How difficulties in recognizing one’s own incompetence lead to inflated self-assessments. Journal of Personality and Social Psychology, 77(6), 1121–1134.
Bjork, R. A., Dunlosky, J., & Kornell, N. (2013). Self-regulated learning: Beliefs, techniques, and illusions. Annual Review of Psychology, 64, 417–444.
STUDY HOUSEでは「分かったつもり」を「本当にできる」に変えます
STUDY HOUSEでは、問題集を終わらせることや、長時間机に向かうことだけを学習のゴールにはしていません。
学習計画表を使って毎日の計画と実績を振り返り、教科書作り、ブラックノート、暗記ツール、確認テスト、REPLAYによる再テストを組み合わせながら、
「分かったつもり」
「覚えたつもり」
「できるつもり」
を一つずつ減らしていきます。
目指すのは、先生がいなくても自分の学習状態を把握し、自分で課題を発見し、自分で修正できる生徒です。
「勉強しているのに、なぜか点数につながらない」
「家ではできるのに、テストになると解けない」
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