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緊張しないやり方はない。
練習から本番を意識するしかない。ー本田圭佑ー

 

先日、STUDY HOUSEにマック🍟を呼びました😎

なぜ「3か月で逆転合格」を信じてしまうのか

SNSの成功事例が受験生の判断を狂わせる仕組み

「偏差値40から3か月で難関大学合格」

「E判定から奇跡の逆転合格」

「半年で共通テスト200点アップ」

「この参考書ルートだけで〇〇大学に合格」

SNSやYouTubeを見ていると、こうした言葉を目にすることがあります。

もちろん、本当に短期間で大きく成績を伸ばした受験生は存在するでしょう。

実際、STUDY HOUSEにも偏差値40台から浪人を経て医学部医学科に合格した生徒や、東北大学をはじめとする難関大学へ進学した生徒がいます。

しかし、ここで絶対に間違えてはいけないことがあります。

その生徒が合格したという事実と、

「自分も同じ方法を使えば、同じ期間で合格できる」

という予測は、まったく別の話だということです。

受験生が見るべきなのは、

「その人が合格したか」

だけではありません。

その人は、どの学力からスタートしたのか。

それまでに何を学習していたのか。

1日に何時間勉強できたのか。

どの科目に、どの程度の基礎学力があったのか。

学校の授業をどの程度理解していたのか。

誰から、どのような指導を受けていたのか。

家庭環境はどうだったのか。

そして何より、

同じ方法を試して、うまくいかなかった人が何人いたのか。

ここまで見なければ、その成功事例を自分の受験に当てはめることはできません。

ところが、人間の認知は、必ずしもこのような冷静な判断を得意としていません。

そこには、認知心理学や意思決定研究で明らかにされてきた、いくつもの認知バイアスが関係しています。

私たちが目にするのは、ほとんどが「成功した人」である

まず考えなければならないのが、生存者バイアス(survivorship bias)です。

これは、ある選抜過程を通過して「残ったもの」だけを観察し、そこから全体について判断してしまう問題です。

受験に置き換えてみましょう。

SNSに、

「3か月で逆転合格しました!」

と投稿する人はいます。

一方で、

「同じ方法を3か月やりましたが、不合格でした」

という人は、どれくらい積極的に発信するでしょうか。

おそらく、成功者ほど多くはありません。

さらに、予備校や学習サービスの広告で紹介されるのも、多くの場合は成功事例です。

合格した人。

偏差値が上がった人。

短期間で結果を出した人。

劇的な変化を遂げた人。

こうした事例は、非常に目立ちます。

しかし、その裏側には、

同じ教材を使ったけれど伸びなかった人。

途中で挫折した人。

基礎学力が足りず、予定どおり進まなかった人。

勉強時間を確保できなかった人。

合格ラインまで届かなかった人。

が存在する可能性があります。

問題は、その人たちが私たちの視界に入りにくいことです。

成功者だけを見て、

「この方法なら合格できる」

と判断する。

これは、受験における非常に危険な意思決定です。

「思い出しやすい事例」を、人は「起こりやすい」と感じる

ここで関係するのが、Amos TverskyとDaniel Kahnemanが1973年に論じた利用可能性ヒューリスティック(availability heuristic)です。

人間は、ある出来事の頻度や確率を判断するとき、その事例がどれだけ簡単に頭に浮かぶかを手掛かりにすることがあります。

簡単に言えば、

「思い出しやすい出来事ほど、実際にもよく起きているように感じる」

ということです。

例えば、

「偏差値40から東大合格!」

という話は記憶に残ります。

「E判定から医学部合格!」

も記憶に残ります。

しかし、

「偏差値40から勉強を始めて、1年間で偏差値52まで上がったが第一志望には届かなかった」

という話は、SNSではそれほど拡散されないでしょう。

劇的ではないからです。

しかし、統計的に考えるなら、本当に知るべきなのは、

「100人がその方法を実践した時、何人が成功したのか」

です。

ところが私たちは、

「1人の劇的な成功」

を何度も目にすることで、

「自分にも起こりそうだ」

と感じてしまうことがあります。

SNS時代には、この問題がさらに大きくなります。

一度「逆転合格」の動画を見る。

すると、アルゴリズムによって似た動画が表示される。

また見る。

また「3か月で逆転」。

次も「E判定から合格」。

気づけば、自分の画面には逆転合格者ばかりが並ぶ。

すると、

「最近は短期間でも逆転できるんだ」

「みんな直前から伸びている」

「自分もまだ間に合う」

という感覚が生まれる可能性があります。

しかし、それは受験生全体を見ているわけではありません。

自分の画面に選択的に表示された、極めて限られた世界を見ているだけかもしれないのです。

SNSには「選択バイアス」がある

科学研究では、どのような人やデータが観察対象として選ばれたかは、結果を解釈する上で非常に重要です。

これを考える上で重要なのが、選択バイアス(selection bias)です。

例えば、

「この参考書を使った合格者100人に聞きました」

というデータがあったとします。

一見、説得力があります。

しかし、本当に知りたいのは、

その参考書を使った人全体のうち、何人が合格したのか

ではないでしょうか。

合格者100人だけを集めれば、当然、全員が成功者です。

しかし、

1万人が使って100人が合格したのか。

120人が使って100人が合格したのか。

では、その教材の意味はまったく違います。

これは受験体験記にも当てはまります。

合格者の体験記を100本読んでも、

その方法の「成功率」は分かりません。

分かるのは、

「その方法で成功した人が存在した」

ということだけです。

存在証明と成功確率は違います。

ここを混同してはいけません。

「あの人ができたから、自分もできる」は正しいのか

さらに問題になるのが、ベースレート、つまり基準率の扱いです。

KahnemanやTverskyらの研究を起点として、人間の確率判断では、個別の印象的な情報を重視する一方で、集団全体の基礎的な確率情報を十分に考慮しない場合があることが研究されてきました。

これが一般にベースレート無視(base-rate neglect)と呼ばれる問題です。

ただし、その後の研究では、人が常にベースレートを無視するわけではなく、情報の提示方法や信頼性、課題構造によって利用の程度が変わることも指摘されています。

したがって、

「人間は必ずベースレートを無視する」

と単純化するべきではありません。

それでも受験生の意思決定を考える上で、

「目立つ一人の成功例」と「全体としての可能性」を区別する

という視点は極めて重要です。

例えば、ある大学を目指している生徒が、

「E判定から3か月で合格した人がいる」

と言ったとします。

その事実だけでは、自分の合格可能性は判断できません。

現在の得点は何点なのか。

合格最低点との差は何点なのか。

残り何日なのか。

1日に確保できる学習時間は何時間なのか。

未習得単元はいくつあるのか。

基礎知識の定着率はどの程度なのか。

共通テストと二次試験の配点はどうなっているのか。

得意科目でどれだけ補えるのか。

過去問で何点取れているのか。

これらを見なければならないのです。

「誰かができた」

ではなく、

「今の自分が、残された時間で何点を積み上げられるのか」

を考えなければなりません。

成功者の「開始地点」は、本当に自分と同じなのか

STUDY HOUSEで生徒を見ていて、私が非常に気になることがあります。

それは、

結果だけを比較して、条件を比較していない

ということです。

「3か月で偏差値が10上がった」

と言っても、

偏差値40から50なのか。

60から70なのか。

科目は何なのか。

模試は何なのか。

母集団は同じなのか。

それまでの学習歴はどうだったのか。

全く違います。

さらに、

「受験勉強を始めて3か月」

という表現も注意が必要です。

本人は「本格的な受験勉強」を3か月しかしていなくても、小学生の頃から読書習慣があったかもしれません。

中学校の定期テストでは毎回450点以上取っていたかもしれません。

高校の授業を3年間きちんと聞いていたかもしれません。

英検準1級を持っていたかもしれません。

数学だけが苦手で、他科目はすでに完成していたかもしれません。

つまり、

「3か月で合格した」

という結果の背後には、

その3か月より前に蓄積された膨大なストック

が存在する可能性があります。

STUDY HOUSEが「ストック型学習」を重視している理由もここにあります。

学力は、昨日突然生まれるものではありません。

今日覚えた英単語。

今日理解した公式。

今日作った教科書。

今日修正したブラックノート。

今日覚えた暗記ツール。

今日やり直したREPLAY。

その一つひとつが積み重なり、数か月後、数年後の学力になります。

表面上は「3か月で逆転」に見えても、その下には何年分もの土台があることがあります。

社会的比較は、使い方を間違えると危険である

Leon Festingerが1954年に提唱した社会的比較過程理論(social comparison theory)では、人は自分の能力や意見を評価するために、他者と比較する傾向を持つと考えられています。

受験でも比較は起こります。

友達がA判定だった。

同級生が英検準1級に合格した。

SNSの高校生が東大模試で高得点を取った。

YouTubeの受験生が1日12時間勉強している。

こうした情報は、時に大きな刺激になります。

STUDY HOUSEでも、良質なライバルの存在は大切だと考えています。

自分より高い基準で努力している人を見ることで、

「自分ももっとやろう」

と思えるからです。

しかし、比較にはもう一つの使われ方があります。

「この人も直前までE判定だったから、自分も大丈夫」

「この人は夏まで部活をしていたから、自分もまだ始めなくていい」

「3か月で逆転した人がいるから、今は焦らなくていい」

これは比較ではありません。

自分が行動しないための材料として、他人の成功事例を使っているだけです。

他人の成功を、自分の先延ばしの根拠にしてはいけません。

「逆転合格」は希望であって、計画ではない

私は、逆転合格そのものを否定しているわけではありません。

STUDY HOUSEでも、実際に大きく学力を伸ばして志望校に合格した生徒を何人も見てきました。

だから、

「今の偏差値が低いから無理」

とも思いません。

現在の点数だけで未来を決める必要もありません。

しかし、

「逆転できる可能性がある」

ことと、

「今のままで逆転できる」

ことは違います。

逆転合格を目指すなら、むしろ現実を直視しなければなりません。

夢を見るからこそ、数字を見る。

目標が高いからこそ、現状を見る。

合格したいからこそ、残り時間を見る。

ここが重要です。

STUDY HOUSEが見るのは「他人の成功例」ではなく「あなたの現在地」

STUDY HOUSEでは、受験生に対して、

「この人が受かったから、あなたも大丈夫」

という指導はしません。

見るべきなのは、本人のデータです。

現在の得点。

志望校の目標得点。

その得点差。

残り日数。

1日に確保できる学習時間。

科目ごとの未習得範囲。

基礎知識の定着状況。

模試のMISTAKE。

過去問で失点している原因。

そして、

その差を埋めるために、今日何をするのか。

ここから逆算します。

例えば、合格目標点まで100点足りないのであれば、

「奇跡を起こそう」

ではなく、

その100点を、どの科目から何点ずつ積み上げるのか

を考えます。

英語で20点。

数学で30点。

理科で30点。

社会で20点。

では、そのために何を習得する必要があるのか。

残り100日なら、1週間単位でどこまで進めるのか。

1日単位では何をするのか。

確認テストはいつ行うのか。

REPLAYはいつ行うのか。

こうして初めて、

「逆転したい」

という願望が、

「逆転するための学習計画」

に変わります。

他人の「3か月」ではなく、自分の「今日」を見る

SNSには、これからも多くの成功事例が流れてくるでしょう。

それを見ること自体は悪いことではありません。

勇気をもらうこともあります。

「自分も頑張ろう」

と思えることもあります。

しかし、その成功事例を、自分の合格可能性そのものだと考えてはいけません。

誰かが3か月で合格したからといって、

あなたに3か月あれば合格できるとは限らない。

逆に、

誰かが不合格だったからといって、

あなたも不合格になるとは限らない。

あなたの受験を決めるのは、他人の物語ではありません。

現在の自分です。

今、何点なのか。

あと何点必要なのか。

あと何日あるのか。

1日何時間使えるのか。

何が分かっていないのか。

何ができないのか。

そして、

今日、何をするのか。

ここを見る。

「3か月で逆転合格」という言葉に希望を持つことは構いません。

しかし、

希望と戦略を混同しないことです。

他人の成功事例は、可能性を教えてくれます。

しかし、

自分の合格までの道のりを教えてくれるのは、自分自身のデータです。

STUDY HOUSEが生徒に学習計画表を書かせ、模試を分析し、ブラックノートを作り、MISTAKEを分類し、REPLAYを繰り返すのは、そのためです。

逆転合格を「奇跡」にしない。

自分の現在地を知る。

不足を数字にする。

必要な学習を決める。

毎日実行する。

確認する。

修正する。

そして、積み上げる。

他人の成功可能性ではなく、

自分の得点差、残り日数、学習時間、未習得範囲から判断する。

その積み重ねの先にある合格こそが、STUDY HOUSEの考える「逆転合格」です。

主要参考文献

Tversky, A., & Kahneman, D. (1973). Availability: A heuristic for judging frequency and probability. Cognitive Psychology, 5(2), 207–232.

Kahneman, D., & Tversky, A. (1972). Subjective probability: A judgment of representativeness. Cognitive Psychology, 3(3), 430–454.

Bar-Hillel, M. (1980). The base-rate fallacy in probability judgments. Acta Psychologica, 44(3), 211–233.

Festinger, L. (1954). A theory of social comparison processes. Human Relations, 7(2), 117–140.

Koehler, J. J. (1996). The base rate fallacy reconsidered: Descriptive, normative, and methodological challenges. Behavioral and Brain Sciences, 19(1), 1–17.

STUDY HOUSEでは「逆転合格」を感覚ではなく、学習設計からつくります

STUDY HOUSEでは、「この参考書をやれば受かる」「この勉強法なら3か月で逆転できる」といった、すべての生徒に同じ方法を当てはめる指導は行いません。

一人ひとり、現在地が違うからです。

現在の学力。

志望校との得点差。

残された時間。

確保できる学習時間。

これまでの学習歴。

科目ごとの未習得範囲。

そして、その生徒自身の学習特性。

これらを踏まえて、学習計画表による日々の管理、教科書作り、ブラックノート、暗記ツール、MISTAKE分析、REPLAYによる再テストを組み合わせ、一人ひとりの合格までの道筋を設計します。

「今の偏差値では志望校は難しいと言われた」

「SNSやYouTubeを見すぎて、何を信じればいいか分からなくなった」

「参考書を何冊も買ったけれど、成績につながっていない」

「高校受験だけではなく、その先の大学受験まで見据えて勉強したい」

そんな方は、ぜひ一度STUDY HOUSEへご相談ください。

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